2018年5月7日月曜日
『もうひとつの脳』あとがき
2018年4月19日木曜日
『もうひとつの脳』が出版されました!
新刊『もうひとつの脳 ―― ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」』を上梓しました(以下のURL参照)。
本書は、R・ダグラス・フィールズ著 ”The Other Brain: The Scientific and Medical Breakthroughs That Will Heal Our Brains and Revolutionize Our Health" を翻訳したもので、「脳神経系におけるグリア細胞の役割」に鮮明なスポットをあて、 新たな視点から「脳のしくみ」を理解しようとする意欲的な著作です。
グリア研究に尽力してきた著名な神経科学者たちのユニークな逸話や「グリア細胞の謎」に迫る物語に満ちています。その中の白眉は、「アインシュタインの脳」を解剖したマリアン・ダイアモンドの発見である。彼女の脳解剖所見によれば、「アインシュタインの天才が、ニューロンではなくグリアに支えられていた」ことが強く示唆されている。この事実だけでも、脳の研究者はもちろんのこと、一般読者をも大いに魅了して、「グリアとはなにか?」への想像を強くかきたてられるであろう。
神経科学の父祖と尊敬されるラモニ・カハールが提唱した「ニューロン説」は、20世紀はじめから100年以上にわたって神経科学者の営為を支える根幹としての役割を担ってきました。これまで神経科学の主流であり続けた考えは「ニューロン中心主義」、つまり脳の主役はニューロンであるという思想です。それでは、脳細胞の八割以上を占めるグリア細胞の役割は何か? この大きな疑問に取り組んでいるのが本書の主題である。フィールズの到達した結論は、重要な局面で「グリアはニューロンを制御する」、あるいは少なくとも「ニューロン・グリア両立主義」を妥当としている。
人間の精神・心を支えているのは、これまで推論されてきた「ニューロンの脳」だけでなく、グリアによる「もうひとつの脳」が不可欠の役割を果たしていると洞察されている。つまり、脳内の広範で多くの部位をつなぐニューロン集団を、同期して活動させるための統合装置としてグリア・ネットワークが働いているという。このような視点から脳機能を追究しようと試みることは、脳の働きに関する基礎的な理解を深めるだけでなく、脳神経疾患の治療に向けた応用の地平を拓くことにつながるであろう。
https://goo.gl/awpFE https://goo.gl/28J3bh
本書は、R・ダグラス・フィールズ著 ”The Other Brain: The Scientific and Medical Breakthroughs That Will Heal Our Brains and Revolutionize Our Health" を翻訳したもので、「脳神経系におけるグリア細胞の役割」に鮮明なスポットをあて、 新たな視点から「脳のしくみ」を理解しようとする意欲的な著作です。
グリア研究に尽力してきた著名な神経科学者たちのユニークな逸話や「グリア細胞の謎」に迫る物語に満ちています。その中の白眉は、「アインシュタインの脳」を解剖したマリアン・ダイアモンドの発見である。彼女の脳解剖所見によれば、「アインシュタインの天才が、ニューロンではなくグリアに支えられていた」ことが強く示唆されている。この事実だけでも、脳の研究者はもちろんのこと、一般読者をも大いに魅了して、「グリアとはなにか?」への想像を強くかきたてられるであろう。
神経科学の父祖と尊敬されるラモニ・カハールが提唱した「ニューロン説」は、20世紀はじめから100年以上にわたって神経科学者の営為を支える根幹としての役割を担ってきました。これまで神経科学の主流であり続けた考えは「ニューロン中心主義」、つまり脳の主役はニューロンであるという思想です。それでは、脳細胞の八割以上を占めるグリア細胞の役割は何か? この大きな疑問に取り組んでいるのが本書の主題である。フィールズの到達した結論は、重要な局面で「グリアはニューロンを制御する」、あるいは少なくとも「ニューロン・グリア両立主義」を妥当としている。
人間の精神・心を支えているのは、これまで推論されてきた「ニューロンの脳」だけでなく、グリアによる「もうひとつの脳」が不可欠の役割を果たしていると洞察されている。つまり、脳内の広範で多くの部位をつなぐニューロン集団を、同期して活動させるための統合装置としてグリア・ネットワークが働いているという。このような視点から脳機能を追究しようと試みることは、脳の働きに関する基礎的な理解を深めるだけでなく、脳神経疾患の治療に向けた応用の地平を拓くことにつながるであろう。
https://goo.gl/awpFE https://goo.gl/28J3bh
2018年4月14日土曜日
ヒト海馬のニューロン新生は高齢者でも維持される!
げっ歯類や霊長類の脳におけるニューロン新生は加齢にともなって低下すると、これまで考えられていた。しかし、脳バンクに保存された14歳から79歳の正常人脳試料を調査した最新の研究から、すべての年齢範囲で神経前駆細胞、未成熟神経細胞、グリア、顆粒細胞の数はほとんど同じであることが見出された。つまり、成熟した脳(成体脳) の海馬におけるニューロン新生の活性は、若い脳とほとんど同じ程度に維持されていることが明らかにされた。ただ、高齢者ではシナプス可塑性(シナプス新生・結合能)は若年者に比べて低下しているらしい。いずれにしても、高齢者には励みになる結果であり、脳や体のエクササイズあるいは別の方法でシナプス結合の数を増やすことができれば、認知機能を維持することも十分に可能であろう。
2014年6月16日月曜日
神経科学における最強のデュオ
神経科学の研究における最強のデュオ(二人組)は、言わずと知れたHubel & Wieselの右にでるものはありません。
最近、トルステン・ウィゼルさんのデビット・ヒューベルさんへのtributeが、Journal of PhysiologyのPhysiology Newsの46・47ページに掲載されました。これまでの神経科学研究における史上最強のペアができあがる契機も偶然の要素が支配したことが語られていて、強い絆が結ばれる背景へ思いを巡らされる……ヒューベルさんが日本語で講義をするまでになったエピソードも紹介されていて興味が尽きない。
こちら(46頁へ)→ https://https://goo.gl/9aH4bT
最近、トルステン・ウィゼルさんのデビット・ヒューベルさんへのtributeが、Journal of PhysiologyのPhysiology Newsの46・47ページに掲載されました。これまでの神経科学研究における史上最強のペアができあがる契機も偶然の要素が支配したことが語られていて、強い絆が結ばれる背景へ思いを巡らされる……ヒューベルさんが日本語で講義をするまでになったエピソードも紹介されていて興味が尽きない。
こちら(46頁へ)→ https://https://goo.gl/9aH4bT
2014年1月26日日曜日
記憶に関する名著を翻訳し『記憶のしくみ』として刊行
2013年末に講談社ブルーバックスから『記憶のしくみ』上・下巻が刊行されました。
これはカンデル博士・スクワイア博士の名著”Memory From Mind to Molecules"を徳島文理大学・神経科学研究所の3教授と共訳したものです。
『記憶のしくみ』上巻は、以下のサイトから購入できます。
ぜひ、お手にとってご一読ください。
http://www.amazon.co.jp/記憶のしくみ-上-ブルーバックス-エリック-R・カンデル/dp/4062578425/ref=zg_bs_2220190051_8
これはカンデル博士・スクワイア博士の名著”Memory From Mind to Molecules"を徳島文理大学・神経科学研究所の3教授と共訳したものです。
『記憶のしくみ』上巻は、以下のサイトから購入できます。
ぜひ、お手にとってご一読ください。
http://www.amazon.co.jp/記憶のしくみ-上-ブルーバックス-エリック-R・カンデル/dp/4062578425/ref=zg_bs_2220190051_8
2011年9月3日土曜日
前頭前野のはたらきと神経可塑性の証拠
有名な症例P.G.は、前頭葉の認知機能について深い洞察をもたらしたことは広く知られている。最近、深刻な脳障害から著しい回復を示した注目すべき症例M.S.につて報告された(以下のURL参照)。M.S.はイスラエル人で、大学院博士課程学生の29歳のときテロリストの攻撃により頭部に障害を受けた悲惨な事例である。
M.S.の症例では、P.G.の場合と似たように、前頭前野の関与する情動、気分、人間関係などの社会性の障害が認められた。これだけでは悲惨な事故であったが、驚くことに心理療法やリハビリテーション処置によって事件から7年が経過した時点で、M.Sの前頭前野のはたらきは顕著な回復を示した。
つまり症例M.S.は、認知機能や情動、気分などの高次機能が、いったん障害を受けた後に脳のトレーニングにより回復することを示している。この症例は、神経可塑性と脳の高次機能の維持・回復の間に相関があることを支持する有力な証拠を提供するであろう。さらなる、追究が期待される。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21667397
M.S.の症例では、P.G.の場合と似たように、前頭前野の関与する情動、気分、人間関係などの社会性の障害が認められた。これだけでは悲惨な事故であったが、驚くことに心理療法やリハビリテーション処置によって事件から7年が経過した時点で、M.Sの前頭前野のはたらきは顕著な回復を示した。
つまり症例M.S.は、認知機能や情動、気分などの高次機能が、いったん障害を受けた後に脳のトレーニングにより回復することを示している。この症例は、神経可塑性と脳の高次機能の維持・回復の間に相関があることを支持する有力な証拠を提供するであろう。さらなる、追究が期待される。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21667397
2011年6月25日土曜日
自閉症 ― 壊れたミラーニューロンが原因か?
しばらく前になるが、自閉症の病態について論争が起こっていることを示す記事があった。
http://scienceblogs.com/neurophilosophy/2011/03/ramachandran_broken_mirror.php
神経科学の立場からは興味深い問題であり、予防のための診断さらには治療を模索するうえで重要な課題なので、その成り行きが注目される。
「ミラーニューロンとは?」で、担当科目「薬科学」の学生に演習課題を提示したが、学生はどの辺りまで調査してくるであろう?
http://scienceblogs.com/neurophilosophy/2011/03/ramachandran_broken_mirror.php
神経科学の立場からは興味深い問題であり、予防のための診断さらには治療を模索するうえで重要な課題なので、その成り行きが注目される。
「ミラーニューロンとは?」で、担当科目「薬科学」の学生に演習課題を提示したが、学生はどの辺りまで調査してくるであろう?
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